パリでジャングルの妄想「アンリルソーの夢」

今回の記事では、
素朴派のフランス人画家、
アンリルソーが
なぜジャングルの絵を描いたのか、

そして傑作「夢」に至るまでを紹介します。

19世紀の絵画なんて興味ないけど、
イラストレーションが好き
なんて方ならアンリルソーは好きになっちゃうかもしれません。

アートと歴史が大好きなマミーが
アンリルソーに敬意を込めて書いてます。

アンリルソーの「夢」がジャングルだったのか?

フランスの画家

アンリ ルソー(Henri Rousseau)
1844-1910

後期印象派の時代に生きていますが、
「素朴派」と言われます。

アンリルソーは特に美術学校に行かず、
税関職員の仕事の合間に始めた絵が、
ピカソなどにより評価され、
退職後、本格的に絵の道に入ります。

なんだかエスニックであったり
絵本のようにファンタジックであったする絵なので、

フランスの人ではないのかな?
ゴーギャンみたいに南国に移り住んだのかな?

と思うこともあるかもしれませんが、
生粋のフランス人で
外国へ行ったことがないのです。

それがなぜ?

アンリルソーを紐解く3つのポイントを紹介します。

Portrait de l’artiste à la lampe 1902-1903
↑ピカソ美術館(パリ)所蔵

独立派公務員画家アンリルソー

パリの税関職員だった
アンリルソーが退職したのは
1893年。

彼の絵はその少し前から残されています。

Landscape with Watermill 1879
イェーテボリ美術館(スウェーデン)所蔵


A View of the Ile Saint Louis from Port Saint Nicolas Evening 1888
↑個人所蔵

画風はすでに
アンリルソーのものとなっていますが。
まだエスニックな雰囲気はなく、
フランスの風景画です。

税関職員になる前に、
何か絵に影響する様な
生い立ちがあったのでしょうか?

一つ気になる経歴が、
1863から1868年の5年間、
軍隊に入っています。

しかし、特に外国に派遣されたわけではありませんでした。

なぜ軍隊へ入ったかと言えば、

高校卒業後、
法律事務所で働いていましたが、
偽証罪にあたる罪を犯したため、
世間の目から逃げるため軍へ入ったようです。

また
未亡人となった母を助けるためでもありました。

アンリルソーが高校生の時には、
父親の債務により家から追い出されたりしています。

経済的な問題を多く抱えた
アンリルソーにとって
公務員であることは重要だったのでしょうね。

アンリルソーはパリ万博で世界と出会う

パリ市の税関で働きながら、
絵も描き続け、

まだ退職をしていない1886年から
アンデパンダン展に出典を始めました。

アンデパンダン展は
新印象派のジョルジュスーラなどが始めた、
サロン・ド・パリに対抗する
”無鑑査・無褒賞・自由出品”の美術展です。

「アンデパンダン」とは
独立したアーティストの意味の、
インディペンデントのフランス語です。

アンデパンダン展は現在も続いています。
Salon des Indépendants

パリ万国博覧会を楽しむアンリルソー

1889年パリ万国博覧会が行われました。
この万博でアンリルソーは
南米やアフリカの文化に触れます。

Desc: View of Exposition Universelle (Universal Exhibition), Paris, France, 1889, engraving ¥ Credit: [ The Art Archive / MusŽe Carnavalet Paris / Dagli Orti ] ¥ Ref: AA371361

同じ万博でも
日本や中国の文化にフランスの人達が出会い、
ジャポニズムやシノワズリといった流行が起こったように、

アンリルソーの中には
南国のジャングルが入り込んだ…

と、言う事なら
あのアンリルソーの絵に納得です。

Myself: Portrait-Landscape 1890
↑プラハ国立美術館所蔵

1890年、
パリ万博翌年の肖像画。

後ろに国旗が描かれ、
万博に影響を受けました!
と言っているように思えるのは思い込みでしょうか?

1891年、
パリ万博から2年後、
初めて描いたジャングルの絵です。

Surprised 1891
↑イギリス、ナショナル・ギャラリー所蔵

まだジャングルらしくない植生の様な
ぎこちなさがあります。

この絵以降、
トラやライオンなど描くのですが、
それらの動物は雑誌から見つけ
模写していたことが遺品からわかっているそうです。

1905年の
「獲物をむさぼるライオン」ですが、
ライオンならばサバンナであるはずが、
この絵はジャングルの中。

この、ちぐはぐさが
現代においては面白いですよね。

A Lion Devouring its Prey 1905
↑個人所蔵

1907年の
「森の中の赤い女性」

森と描いてありましたが、
ジャングルの中に赤いドレスの貴婦人。

このちぐはぐさも面白いです。

Woman in Red in the Forest 1907
↑個人所蔵

アンリ ルソーの見た夢

1910年、
アンリルソーは足の手術後にできた血栓により亡くなりました。

その数ヶ月前に発表され、
アンリルソー最後の作品になったものが、
図らずも「夢」でした。


The Dream 1910
↑MOMA所蔵

ジャングルの中にカラフルな鳥、
猿、象、蛇、ライオン、
笛を吹く原住民、

そしてカウチに座る裸婦。 

このコントラスト。

パリに住み、外国には一切行かず、

パリの中にある、
国立自然史博物館や、
植物園や動物園に通い
インスピレーションを得ていました。

そんなアンリルソーの頭の中の
集大成が「夢」となった様です。

アンリルソーの「夢」のまとめ

軍役の後、税関職員をしながら
絵を描き続けたアンリルソー。

パリ万博で世界と出会い、
アンリルソーはその中の、
ジャングルからインスピレーションを受けたのです。

パリ、ジャングル、
パリ、ジャングル…

これらの絵を描き続け、
晩年に行き着いた傑作が、
「夢」でした。

世界を駆け回らずとも
こんな絵が描けたアンリルソーが
すごいことに気がついたのはあのピカソ。

からかい半分だったようですが、
ピカソ主催で「アンリルソーを囲む会」を
開催したこともあったんです。

当時は下手な絵だと評価されていましたが、

現在アンリルソーの「夢」は
ニューヨークのMOMAにて
ゴッホの名画「星月夜」の横に展示されています。
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