【大紹介4】「富嶽三十六景」後半!27〜36景

葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」の
一枚一枚を説明しています。
関連リンクや日本の歴史も交え、
どの様な絵なのか見て行きます。

この記事では神奈川、静岡から見た富士山の版画、
27〜36番を紹介しています。
「神奈川沖浪裏」の次に有名な
「赤富士」もありますよ。

日本の歴史が好きな人、
絵画が好きな人、
ドガやモネが好きな人は必読です。

北斎の世界に通じるアート「富嶽三十六景」

北斎の「富嶽三十六景」の背景
江戸時代のこと、独特な藍色のこと、
最初の10枚の「富嶽三十六景」が
↓のリンクで分ります。
【大紹介】葛飾北斎「富嶽三十六景」の1〜10景
【大紹介2】葛飾北斎「富嶽」11〜16景
【大紹介3】葛飾北斎「富嶽」17〜26景
【大紹介5】完結「富嶽四十六景」37〜46景

北斎の「富嶽」27〜36景

今回沢山出てくる
「相州(ソウシュウ)」は「相模国」の別称。
現在の神奈川県です。

平安時代から江戸時代の行政区分です。

他にも
甲州は「甲斐国(カイノクニ)」の別称。
現在の山梨県。

駿州は「駿河国(スルガノクニ)」の別称。
現在の静岡県。

武州は「武蔵国」の別称。
現在の西東京。

などがあります。

27. 神奈川に鶴が「相州梅澤左」

相州 梅澤左(ウメザワノヒダリ)

現在の
神奈川県中郡二宮町、
隣が大磯プリンスホテルのある大磯町と
小田原城の小田原に挟まれています。

現在では神奈川でも
鶴がいたなんて考えられませんが。
江戸時代の鶴は高級食材の一つだったそうです。

これまでの遠景からの富士山と違い、

手前左に5羽の鶴と、
藤戸の間に空飛ぶ2羽の鳥で
伝えたい物を繋げています。

「32.山下白雨」
「33. 凱風快晴」
の富士山だけを描く絵より、
ちょっと距離があることを鶴で表しているのですね。

28.今も変わらぬ景色「相州箱根湖水」

相州 箱根湖水(ハコネノコスイ)

これまでは結果として
失われた自然が描かれていましたが、

現在も箱根の湖水(芦ノ湖)と富士山は
あまり変化なく見られます。

ちょっとだけほっとしますね。
ここが第三新東京にならないことを願います。

29.ど真ん中に木が「甲州三島越」

甲州 三島越

ボストン美術館の所蔵の
「甲州三島越」は4枚所蔵されています。


そのうちの2枚に、
英語での説明が入っており、
また違う味があります。

この絵の最大のポイントは
中央に大胆に配置された巨木。

こんなの大胆すぎて
フランスの画家たちも真似できません。

巨木や巨石を信仰する日本だから、
富士山と共に敬意を持って
中央に配置できるのではないかと思います。

その木の大きさを強調するかの様に、
旅人が並んで木の大きさを示しています。

ここにまた禿頭と笠の
「◯」のコンビネーション。

画面の中に「◯」の形が入ると、
緊張感がほぐれますよね

30. 黄色いお茶の葉「駿州片倉茶園ノ不二」

駿州 片倉 茶園ノ不二

現在の静岡ですが、
場所が明らかになっておらず、
お茶畑なのに、
茶畑を緑にしない意図がよくわかりません。

ともあれ、
働いている人を細かく描写しているのは、
働いている人たちへの敬意が感じられます。

細かく描くということは、
このような見えない効果も生むのですね。

静岡まで富士山に近づくと、
大きな富士山が存在するのも
日常であるということも見て取れます。

31.富士山真正面「駿州大野新田」

駿州 大野新田(オオノシンデン)

現在の静岡県富士市大野新田は
東海道海沿いで、
富士山の真正面に位置することで有名な場所。

北斎もひねりを入れず、正面に描いています。

それにしても山頂が
画面際になりすぎていると思います。
やはりまだ富士山よりも、
手前の働く人を見て欲しい、

不自然な構図にはそんなことも感じられます。

32.稲妻だけど火山では?「山下白雨」

山下白雨(サンカハクウ)

白雨とは夕立のこと。
山下白雨は
山の下で稲妻を伴い雨が降っている光景です。

次の「凱風快晴」が「赤富士」
こちらの「山下白雨」が「黒富士」と言われます。

一般的には天気の差で
富士の高さを表していると見られますが、

何も知らずに見た時は、
活火山である富士山を表したのかと思いました。
それもあると思いません?

次の「凱風快晴」と同じ構図ですが、
少し山のシルエットが尖っています。

ギャグマンガで噴火する前に
山が細くなったり伸びたりする表現がありますよね。
そんな表現がある気がします。

もう一つ山肌の赤茶色の点々。
これも活火山を表現しているのではないかと思った一つです。
高さだけ表現するならば、
青い富士の方が自然ではないですか?

独自解釈で失礼します。

33.赤富士には青版もあった「凱風快晴」

凱風快晴(ガイフウカイセイ)

凱風は夏に南から吹く優しい風のこと。

「赤富士」とも言われますが、
本来の「赤富士」と言われる現象は、
朝日を浴びて山全体が赤くなる
早朝の富士山の現象なのです。

「凱風快晴=赤富士」が
あまりにも有名ですが、
実は別バージョンが存在しています。

青い富士に、雲が上部だけにあります。
偽物か?と思っちゃいますよね。

34.山頂で疲れた〜「諸人登山」

諸人(ショニン)登山

山頂にご来光を拝みにきた登山者の図です。

右上に石室があり、
そこに大勢の登山者が休んでいます。

笠を被る登山者達、
人物が不自然にならない様にしながらも、
「◯」になるようにしていますね。

ここは山頂の図らしいのですが、
左端に木が描かれているのが不思議です。
山頂であれば森林限界で木が生えないはずですが、
図のバランスから入れたのでしょうか?

ほのぼのした人物が多かった中、
この絵の人々は疲労がよく描かれています。

石室の中の人たちは
疲れて寝ているのが分ります。

35.生き生きとした風の表現「駿州江㞍」

駿州 江尻

ここで見るべきものは
一にも二にも「風」の表現ですよね。

その対比としての富士山の描き方が、
あまりにもシンプルで驚きます。

そしてまた笠の「◯」
笠を飛ばされた人は
強風を楽しんでいる様にどこか笑っています。

36.万葉集から富士で有名「東海道江尻田子浦略図」

東海道 江尻田子浦略図

田子の浦に
うち出でてみれば
白妙の
富士の高嶺に雪は降りつつ

山部赤人

万葉集のこの歌の「田子の浦」
富士の高嶺に雪が降って白いですね。

それよりも、
浜辺で働く人、舟をこぐ人の細やかな表現は、
人々への愛情が垣間見れます。
浜辺で働いている人は塩を作っています。

ところで波打ち際の表現が巧みです。

波が打ち寄せてきている様に見えますが、
浜のシルエットを雲と同じ形にしています。

大きい舟と小さい舟
2隻並べるのは
「17.上總ノ海路」と同じです。

その他の「神奈川沖浪裏」など27〜36景以外のリンク

「富嶽三十六景」の27〜36景を紹介しました。

富士山の意味の「富嶽」
この「富」の漢字を

「冨」
と版画では書かれています。
これは、画数を縁起の良い奇数にするためだそうです。

浮世絵は時々この様な縁起をかついだり、
謎解きの様なことがあるので面白いですね。
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北斎の青色とグラデーションについて、
日本橋から原宿、目黒から見た富士山はこちら↓
【大紹介】葛飾北斎「富嶽三十六景」の1〜10景
〜東京から富士山編1〜

【大紹介2】葛飾北斎「富嶽」11〜16景
〜東京から富士山編2〜

【大紹介3】葛飾北斎「富嶽」17〜26景
〜茨城、千葉、神奈川から富士山編〜
世界一有名な日本の絵「神奈川沖浪裏」が入ってます。

この記事が
【大紹介4】北斎「富嶽三十六景」27〜36景
〜[富士山大接近]神奈川、静岡、山頂編〜
北斎の富士山と言えばの「赤富士」
「山下白雨」の説明あります。

【大紹介5】完結「富嶽四十六景」37〜46景
〜山梨から裏富士編〜

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