スープ缶の真実。ウォーホルの自由と平等

アンディ・ウォーホルといえば
キャンベルのスープ缶。

もはやアンディ・ウォーホルという画家と
同義語と言ってもいいほど
その代表的な作品となった一枚です。

それは一見、単純で
商業的なスープ缶の描写でしかないこの作品

そのデザイン性はそれこそスープ缶のデザイナーの手柄

ある意味、
ウォーホルの作品とは呼べないものです。

そんなウォーホルの代表作
『キャンベルのスープ缶』
(キャンベルの32のスープ缶)

一体そこにはどんな思想があって
そしてどんなウォーホルの思惑があったのか、

今回の記事でわかります。

ウォーホルのスープ缶の真実。

ウォーホルが「スープ缶」を描くまで、
どの様なことがあったのか見てみましょう。

イラストレーターからファインアートの世界へ

商業的イラストレーターだったウォーホル
アイ・ミラー社の靴のポスターを皮切りに
ファッション雑誌ヴォーグの
広告イラストを手がけるなど
様々な広告を発表し名声を博します。

1952年に初個展を開きますが
この頃はまだ、
ファインアーティストとみなされてはおらず
あくまで広告イラストレーターとしての評価でした。

その後も50年代に何度か個展を開いたものの
作品の販売に結びつくことは稀でした。

その流れを変えたのが1962年の個展。

カリフォルニアロサンゼルスで行われたこの個展に
あのキャンベル缶が発表されたのです。

一般的にはこの時が
ウォーホルのポップアーティストデビューとされています。

これを機にポップアーティストとして
ファインアートの世界に足を踏み入れたウォーホル

工業製品や俳優、商業的モチーフ
そして、
シルクスクリーンをつかった反芸術的な製法

そんなウォーホルの作品たちは
芸術界に賛否を巻き起こします。
現在も続くウォーホルという個性に対する論争。

そこにウォーホルの込めた想いは
どんなものだったのでしょう。

アメリカ抽象表現主義への批判

当時アメリカのアート界では
抽象表現主義が流行していました。

シュルレアリスムの影響を大きく受けた
このアメリカの抽象表現主義は
マックス・エルンストやイブ・タンギー
アンドレ・マッソンなどが牽引したアートスタイルでした。

特に、
ロバート・マザーウェルにより牽引された
抽象表現主義運動によって
アメリカのアートシーンに大きな影響を与えました。

しかしこの「抽象表現主義」
それはある意味、
芸術をたしなむ者たちのアート。

思想や哲学性が大きく重んじられ
そこには禁欲的で神秘性の高い雰囲気が満ちていました。

そこに現れたのがウォーホル

そのスタイルは
まさに「非絵画的」なスタイルで
反芸術的とも言える世俗的な表現。

まさにポピュラーを表現したその思想は
民衆から離反した芸術への批判。

アートを庶民に取り戻した、
とも言えるその作品は

そのモチーフもさながら
アメリカ国民の手に入れやすいアートとして
そしてわかりやすいアートとして
今日も存在しています。

コカ・コーラに見るウォーホルの思想

ウォーホルの作品の一つに
キャンベル缶と同じく
誰もが知るコカ・コーラの瓶をモチーフにした
そんな作品があります。

そして、この作品について
ウォーホルはこう答えているのです。

『アメリカのい良いところは
最もリッチな人間と貧しい人間
それが同じものを購入するという伝統から始まったことだ。
(中略)
大統領がリズ・テイラーがそして一般大衆が
同じようにコカ・コーラを飲む。
すべてのコークは同じコークであり
街の隅で浮浪者が飲むコーラより
うまいコーラはない』

一部の人間の慰みものとなったアート。

そのアートを民衆の手に取り戻した
ウォーホルの思想は

民衆的なモチーフをわかりやすく伝える
そんな商業的手法で展開される
真の『ポップ(=大衆)』アートだと言えるでしょう。

そう、あのキャンベル缶にも
人種や性別、経済力、社会的階層
そんなすべてを超越する
誰にでも共感できる価値。

そんなウォーホルの思想が
込められていると言ってもいいのです。

アメリカ的であってアメリカそのもの

20世紀、世界の商業の中心地であったアメリカ。

同時にアートシーンにおいても
アメリカは世界の中心であり続けました。

そんなアメリカにあって
キャンベル缶やコカ・コーラ
マリリンモンローなどのまさにアメリカ的アイコンを
世界に向けて発表し続けていたウォーホル

その、まさにアメリカを代表する
ポップアートの巨星は

大量消費社会を世界に広めた
アメリカの商業主義の中で
広告イラストレーターとして生まれ
大衆がその社会の中心であるという
アメリカの自由と平等の思想を
その作品に込めて花開きました。

ある意味それはまさに
20世紀のアメリカそのもの
そう言えるのかもしれません。

ウォーホルとキャンベル缶まとめ

『アンディ・ウォーホル=キャンベル缶』

そんなイメージの中で
創作活動を続けたウォーホル

その後も様々な形で
キャンベル缶の作品を世に現してきました。

そんな彼は晩年のインタビューで
こう答えています。

「私のランチはもう20年以上も、ずっと毎日キャンベルのスープ缶だったよ」

そのチャーミングな答えもまた
彼のアメリらしさを表現する
エピソードなのかもしれませんね。
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関連サイト内リンク
25匹の猫を飼っていた、
ウォーホルについて書いてます。
やっぱり猫の絵画が好き。名画の中の猫。

「現代アート」はどこ生まれ?答えは「アメリカ」
ウォーホルがデザイナーの頃に使っていた、
ブロッテドライン手法にいて書いています。
版画はお得?
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