今回の記事では
東京上野の国立西洋美術館で展示する予定の
ロンドン・ナショナル・ギャラリー
所蔵作品の中から展示予定の
フランス近代絵画だけを取り上げます。
美術館に足を運べないストレス抱える方へ、
同じく美術館に行きたいストレスを
この記事にぶつけているマミーが書いています。
もくじ
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
東京、上野にある
国立西洋美術館
2020年3月から始まる予定でした、
「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」は
新型コロナウィルス感染症
(COVID-19)拡大防止のため、
多くの美術館と同じく休館しています。
ロンドン・ナショナル・ギャラリー
(National Gallery)が
61点もの所蔵を海外に出すのは世界初。
この中から7点を選り抜き紹介した記事
7つの時代のロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵品
この記事では、
フランス近代絵画はゴッホ1点の紹介でしたが、
フランス近代絵画の残り11点も
もっと詳しく見たい!
そう思った自分のために書いてます。
一緒に楽しんでいただけたら幸いです。

Vincent van Gogh, 1853 – 1890
Sunflowers
1888
Oil on canvas, 92.1 x 73 cm
Bought, Courtauld Fund, 1924
NG3863
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG3863
作品タイトルの英語表記に
ロンドン・ナショナル・ギャラリーのサイトへ
その作品を直接リンクしています。
リンク先では拡大して細部までみることができます。
英語の詳しい解説、
ご自身でダウンロードをすることもできます。
[ルネサンスの恋愛詩]ドミニク・アングル
ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル
Jean-Auguste-Dominique Ingres
アンジェリカを救うルッジェーロ
Angelica saved by Ruggiero

Jean-Auguste-Dominique Ingres, 1780 – 1867
Angelica saved by Ruggiero
1819-39
Oil on canvas, 47.6 x 39.4 cm
Bought, 1918
NG3292
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG3292
ルドヴィーコ・アリオストの
ベストセラー物語詩
「狂えるオルランド」
(Orlando furioso)
キリスト教徒の騎士オルランドが
異教の王女アンジェリカに恋をする物語です。
アングルの有名な絵は、
ルーブル美術館所蔵の
「グランド・オダリスク」
古典的な絵に見えますが、
色使い、表現方法、主題の選択など
ドガ、ルノワール、セザンヌ、
ピカソやマティスと
近現代の絵画に大きな影響を与えた画家です。
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サイト内関連リンク
画家3人の「アルジェの女たち」
行く?行かない?「フリック・コレクション」
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[橋の上で踊るよ]カミーユ・コロー
ジャン=バティスト=カミーユ・
コロー
Jean-Baptiste-Camille Corot
「西方より望むアヴィニョン」
(Avignon from the West)

Jean-Baptiste-Camille Corot, 1796 – 1875
Avignon from the West
1836
Oil on canvas, 34 x 73.2 cm
Sir Hugh Lane Bequest, 1917
NG3237
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG3237
1836年7月にカミーユ・コローが
フランス南部、
アヴィニョンを訪れた時描いたものです。
ローヌの向かいにある
ヴィルヌーヴ=レザヴィニョンと言う
小さな町からアヴィニョンを見ています。
この絵の中央に橋があります。
名前はサン・ベネゼ橋
(Pont Saint-Bénézet)
童謡として知られている、
「アヴィニョンの橋で」の橋なんです。
15世紀に作られた歌で、
当時は橋は繋がっていましたが、
幅が狭いので踊ることはできないそうです。
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サイト内関連リンク
お家で「オルセー美術館」(前半)6作品
お家で「オルセー美術館」(後半)6作品
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[冷たい古典主義]アリ・シェフェール
アリ・シェフェール
Ary Scheffer
ロバート・ホロンド夫人
(Mrs. Robert Hollond)

Ary Scheffer, 1795 – 1858
Mrs Robert Hollond
1851
Oil on canvas, 81.9 x 60.3 cm
Bequeathed by Robert Hollond, with a life-interest to his widow; entered the Collection, 1885
NG1169
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG1169
流行していた1800年台中頃、
アリ・シェフェールは
「冷たい古典主義」(classicisme froid)
と言われるスタイルで描いていました。
国立西洋美術館には
アリ・シェフェールのこの絵画が所蔵されています。
「戦いの中、聖母の加護を願うギリシャの乙女たち」
(Greek Women Plead for the Virgin’s Help)
オスマン・トルコ帝国からの
ギリシャの独立戦争時、
避難をした洞窟で
祈りを捧げる女性たちです。
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サイト内関連リンク
画家3人の「アルジェの女たち」
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[花の画家]アンリ・ファンタン=ラトゥール
アンリ・ファンタン=ラトゥール
Ignace-Henri-Théodore
Fantin-Latour
ばらの籠
(A Basket of Roses)

Ignace-Henri-Théodore Fantin-Latour, 1836 – 1904
A Basket of Roses
1890
Oil on canvas, 48.9 x 60.3 cm
Bequeathed by Mrs M.J. Yates, 1923
NG3726
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG3726
エドゥアール・マネの友人でもあった
アンリ・ファンタン=ラトゥールは
花の静物画が有名です。
彼のアトリエは花の香りがしていたそうです。
17世紀のオランダの画家、
「花のブリューゲル」の精密な花と比べると
1890年の絵であることがわかります。
ファンタン=ラトゥールは
下スケッチをせず、
花の鮮度を大切にし、
花屋で花を買うとすぐ描いていたそうです。
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サイト内関連リンク
これは欲しい!世界3大「花の絵画」
印象派の父「マネ」が真似した3作品
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[避難中のイギリス]カミーユ・ピサロ
カミーユ・ピサロ
Camille Pissarro
シデナムの並木道
(The Avenue, Sydenham)
カミーユ・ピサロは普仏戦争の間
イギリスへ自主避難し、
12枚のイギリスの絵を描いた中の一枚です。
この時イギリスのディーラーを通し
同じく避難をしていた
クロード・モネと出会い、
フランスに戻り第1回印象派展に出品します。
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サイト内関連リンク
メトロポリタン美術館で印象派
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[女性は噂好き?]ピエール =オーギュスト・
ルノワール
ピエール =オーギュスト・
ルノワール
Pierre-Auguste Renoir
劇場にて(初めてのお出かけ)
(At the Theatre (La Première Sortie))

Pierre-Auguste Renoir, 1841 – 1919
At the Theatre (La Première Sortie)
1876-7
Oil on canvas, 65 x 49.5 cm
Bought, Courtauld Fund, 1923
NG3859
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG3859
19世紀の劇場は
ただ劇を鑑賞する場所ではなく、
そこへやってくる人々の服装、
社会地位、付き合う相手などをみる、
ゴシップ的要素もあったようです。
その意図を思いながら、
ルノワール本人が付けたタイトルが
「初めてのお出かけ」と思うと
見え方が少し変わってきますね。
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サイト内関連リンク
[ルノワール]花だらけの60年
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[バレリーナと言えば]エドガー・ドガ
エドガー・ドガ
Edgar Degas
バレエの踊り子
(Ballet Dancers)

Hilaire-Germain-Edgar Degas, 1834 – 1917
Ballet Dancers
about 1890-1900
Oil on canvas, 72.5 x 73 cm
Bought, Courtauld Fund, 1926
NG4168
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG4168
エドガー・ドガはパステルを使い、
独特な柔らかい表現をしていますが、
この絵はパステルは使わず、油絵の具だけで、
パステルを使ったような質感を出しています。
ドガが同じ様なバレリーナの絵を
何枚も描いたのは鍛錬として、
同じモチーフを
バレリーナがステップを練習するように
何度も何度も描いたそうです。
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サイト内関連リンク
バレエの絵画は結局ドガ[すぐ分かる]ポイント6つ
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[庭の睡蓮]クロード・モネ
クロード・モネ
Claude Monet
睡蓮の池
(The Water-Lily Pond)

Claude Monet, 1840 – 1926
The Water-Lily Pond
1899
Oil on canvas, 88.3 x 93.1 cm
Bought, 1927
NG4240
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG4240
モネの庭の睡蓮です。
モネが存命だった頃も
経済的余裕ができたモネは庭を拡張し、
庭師は8人も雇って管理していたそうです。
現在も10人の庭師によってこの庭を残しています。
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サイト内関連リンク
モネの絵を楽しむ基礎知識3つ
5枚で解説。モネの絵画はここへ行け!
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[究極の花の絵]ポール・ゴーギャン
ポール・ゴーギャン
Paul Gauguin
花瓶の花
(A Vase of Flowers)

Paul Gauguin, 1848 – 1903
A Vase of Flowers
1896
Oil on canvas, 64 x 74 cm
Bought, 1918
NG3289
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG3289
セザンヌの影響を受けながら
19世紀に人気であった花を描いていた
ポール・ゴーギャン。
そこにゴッホのエッセンスが入り、
タヒチの花々を描いている、
19世紀を濃縮した名画でしょう。
鮮度を大切にしたファンタン=ラトゥールとは対象的に、
少し弱った花も気にせず、
色合いを大切に描かれているのが特徴です。
ゴーギャンのこの花は
オディオン・ルドンのこの絵に
影響を与えています。
Ophelia among the Flowers

Odilon Redon, 1840 – 1916
Ophelia among the Flowers
about 1905-8
Pastel on paper, 64 x 91 cm
Bought with a contribution from The Art Fund, 1977
NG6438
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG6438
サイト内関連リンク
なぜタヒチを描いたか?ゴーギャンと「快楽の館」
これは欲しい!世界3大「花の絵画」
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[南仏の景色]ポール・セザンヌ
ポール・セザンヌ
Paul Cézanne
プロヴァンスの丘
(Hillside in Provence)

Paul Cézanne, 1839 – 1906
Hillside in Provence
about 1890-2
Oil on canvas, 63.5 x 79.4 cm
Bought, Courtauld Fund, 1926
NG4136
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG4136
ポール・セザンヌが生まれ
晩年を過ごした南仏の町
エクス・アン・プロヴァンス
(Aix-en-Provence)
ここにはセザンヌのアトリエが残されています。
visit the atelier de cezanne
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詳しくはサイト内関連リンクもどうぞ、
ポール・セザンヌから学ぶ[南仏インテリア]
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[元修道女]ポール・セザンヌ
ポール・セザンヌ
Paul Cézanne
ロザリオを持つ老女
An Old Woman with a Rosary

Paul Cézanne, 1839 – 1906
An Old Woman with a Rosary
about 1895-6
Oil on canvas, 80.6 x 65.5 cm
Bought, 1953
NG6195
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG6195
修道院を抜け出した元修道女だそうです。
なにか曰く有りげな女性に見えますね。
解説によると、
この絵は床に無造作に置かれ、
あまり大事にされていなかったようです。
イギリスのフランス近代絵画11点まとめ
国立西洋美術館、
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展で展示される、
仏近代絵画を11点紹介しました。
やっぱりロマン主義から後期印象派の
フランス絵画はテンション上がります。
今回も最後まで記事を読んでいただき
ありがとうございました。
さらなる情報、ご意見ご感想、
体験談などコメントいただけたら嬉しいです。
Yukiyo mommy
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